かつて駅の売店やコンビニのラックを賑わせていた夕刊紙や大衆週刊誌は、その主戦場を完全にスマートフォン上へと移行させました。いわゆるデジタルタブロイドと呼ばれる媒体群は、政治スキャンダル、芸能人の不倫、企業の不祥事、庶民派グルメ情報などを武器に、月間数千万から億単位のPV(ページビュー)を叩き出しています。
こうしたネット大衆紙の読者層を分析すると、従来の紙媒体を支えていた中高年男性だけでなく、製造業、建設業、運輸・物流、サービス業などの現場で働く20代〜50代の労働者層が中核を担っている実態が浮かび上がります。デスクワーク中心のホワイトカラー層が長文のビジネス解説記事を好む傾向があるのに対し、身体を動かし現場の最前線に立つ人々は、要点が数行で掴めるスピード感と、白黒がはっきりした痛快な論調を求める傾向が顕著です。
さらに、大手出版社が運営する週刊誌Web版のターゲット層も、従来の固定読者から「現場で汗を流す現役世代」へと舵を切っています。小難しい経済用語を極力排除し、読者の日常生活に直結する身近な怒りや疑問を代弁するスタイルが、驚異的な滞在時間と回遊率を生み出しています。