有村架純の起用には、ドラマ制作の現場における運命的なドラマが隠されていました。彼女はもともと、能年玲奈(現・のん)が射止めたヒロイン・天野アキ役のオーディションを受けていました。
当時のキャスティング担当者や制作統括の回想によると、アキ役の最終選考には残らなかったものの、「憂いを含んだ眼差しと、どこか昭和の懐かしさを感じさせる佇まい」が審査員の記憶に強烈に残っていたといいます。その後、若き日の春子役を選定する段階になり、「あのオーディションにいた有村架純しかいない」と満場一致で抜擢が決まりました。
さらに語り草となっているのが、トレードマークとなった「聖子ちゃんカット」の髪型です。カツラではなく地毛をカットしてブローを重ね、当時の松田聖子や小泉今日子の初期スタイルを忠実に再現しました。衣装合わせの段階でこのヘアスタイルを施した有村が姿を現した瞬間、スタッフ一同から「春子そのものだ!」と歓声が上がったというエピソードが残っています。前髪の立ち上がりとサイドの流れるようなレイヤーが、彼女の丸みのある柔らかなフェイスラインと見事に調和し、唯一無二のヒロイン像を完成させました。