ムッタとは対照的に、直感型で常に前を走り続ける弟・ヒビト、そして共に夢を追う仲間たちのセリフにも、忘れがたい名言が溢れています。
選抜試験中、閉鎖環境ボックスで仲間がミスを悔やむ場面で登場するのが、「本気の失敗には価値がある」という言葉です。何かに本気で打ち込み、全力で挑んだ結果としての失敗は、後悔ではなく次へ繋がる貴重なデータになります。失敗を過度に恐れて挑戦を避ける風潮がある中で、この言葉は挑戦者全員に対する最大の賛辞と言えます。
また、ヒビト自身が月面での大事故やパニック障害という絶望的な試練に直面した際に見せる泥臭い再起も、読者の胸を打ちます。弱気になりそうな場面でも、「死ぬ覚悟なんていらねえぞ。必要なのは生きる覚悟だ」と前を向く姿勢は、困難に直面した時の覚悟のあり方を教えてくれます。
さらに、ライバルであり親友である真壁ケンジの「悩む暇があったら動け」という実直な行動力や、伊東せりかの亡き父への想いを胸に秘めた研究への執念など、仲間たち一人ひとりのバックボーンから生まれる言葉が重なり合い、作品全体のドラマを最高潮へと導いています。