教育者としての真価は、対象者の多様性への対応にある。藤田の授業は子どもの言語習得から、社会人のキャリアアップ支援まで幅広い。子ども向けのクラスでは、ゲームや歌を取り入れた楽しい学習環境を作り、自然な形で日本語に触れさせる工夫をしている。
社会人向けには、即戦力となる実務日本語を重視する。ビジネスメールの書き方、電話応対、敬語の使い分けなど、職場で直面する具体的なシーンを想定した授業内容だ。特に介護分野では、専門用語と現場でのコミュニケーションスキルを同時に教える必要があり、彼女の経験が生きる場面が多い。
介護技能指導という特異な専門性
日本語教育と介護技能の組み合わせは、珍しいキャリアパスだ。高齢化が進む日本では、外国人介護人材の受け入れが政策課題となっている。タイやフィリピン、ベトナムなどから多くの人材が来日するが、言語の壁が最大の障害となっている。
藤田は、この橋渡し役を担う。介護の現場で使われる専門用語や、利用者との信頼関係を築くための言葉遣いを教える。単なる言語教育ではなく、文化理解や倫理観も含めた総合的な指導が求められる。彼女の授業を受けた学習者の多くが、日本の介護施設で活躍している。