バラエティ番組で見せた軽妙な語り口から一転、本格的な報道番組へと踏み出した経験は、彼女の人生における大きな転換点だった。『NEWS23』のキャスター就任当初は、報道の第一線が持つ独特の緊張感に呑まれそうになる夜もあったという。
しかし、故・筑紫哲也氏の徹底して現場を重んじる姿勢や、権力に対して決して物おじしない眼差しを間近で体感することで、ニュースの表面だけをなぞらない取材者としての覚悟が養われた。単に原稿を読むアナウンサーにとどまらず、社会の構造やそこに生きる人々の情念に寄り添う眼差しは、この時代の経験によって決定づけられたと言える。