日本の映画市場において、作品の興行的な成功を左右する配給大手の戦略は大きな転換期を迎えている。メガヒット作品を手掛ける東宝は、大衆向けのエンターテインメント作品にとどまらず、クリエイターの個性を前面に出した深みのある作品展開を加速させている。一方でワーナー・ブラザース・ジャパンも、邦画のクオリティを国際水準へと引き上げる質の高い企画を相次いで送り出してきた。
こうした動きは、従来の型にはまったビジネスモデルからの脱却を意味する。日本映画業界全体が、単に豪華なキャストを集めるだけでは客席が埋まらない現実に直面し、ストーリーテリングの深さと映像表現の美しさで正面から勝負する時代へと突入したのだ。