バッターボックスに立つ打者の表情が固まる。ボールが手元に来てから急激に伸びてくるような独特の球筋。相手チームの主力バッターたちが口を揃えて「球の出所が見えづらく、体感速度は155キロ以上に感じる」と脱帽するほどだ。
末吉の最大の武器は、平均して148km/h前後を計測するストレートだけではない。カウントを簡単に整えるスライダー、そして土壇場で打者の空振りを誘うフォークボールのキレが極めて高い。単に速い球を投げる投手は全国に溢れているが、ストライクゾーンの四隅を緻密に突く制球力と勝負所でのギアチェンジ能力を兼ね備えた投手は極めて稀だ。高めに伸びる直球で追い込み、低めのボールゾーンへ落とす。このシンプルな組み立てでありながら、相手打線は手も足も出ない状態に追い込まれる。
「ストレートで押し切れる確信があるからこそ、変化球が生きてくる」。実況アナウンサーが思わず叫んだその一言は、まさに彼のピッチングの本質を完璧に捉えていた。