主人公である後藤ひとりのキャラクター像は、どのように生み出されたのか。その背景には、リアリティに対する制作陣の異常なまでのこだわりがあった。極度の人見知りゆえに生じる不条理な行動や極端な思考パターンは、決して記号的なコメディにとどまらない。
作中で描かれる葛藤の数々は、観る者の苦い記憶や青臭い感情を容赦なく揺さぶる。押し入れに閉じこもって1日6時間のギター練習を重ねた3年間という重み。その歪で純粋な努力の蓄積があるからこそ、ステージ上で彼女が解き放つ一音一音が強烈な説得力を持って迫ってくるのだ。