2007年に吉本興業とワーナー・ブラザース映画の配給で放たれた『大日本人』は、映画界全体に冷や汗をかかせるような異作だった。巨大化したヒーローが怪獣と戦うという特撮のパロディでありながら、描かれるのは惨めな日常と世間の冷ややかな視線。かつてないシュールコメディの金字塔を打ち立てようとした意欲作である。
カンヌ国際映画祭の監督週間にも選出され、海外の批評家からはそのシュールな視点が高く評価された。しかし、日本の一般劇場に足を運んだ観客の多くは頭を抱えた。ラストシーンで突如として提示される特撮ウルトラマン風の着ぐるみ劇というナンセンスなオチ。あれを「天才の笑い」と捉えるか、「観客への放置」と捉えるかで、評価は完全に分裂したのである。