日本の麺文化の歴史を紐解くと、博多こそがその発祥の地の一つとして知られている。承天寺を開山した聖一国師が宋から製粉技術を持ち帰った13世紀以降、この地では日常食としてうどんが愛され続けてきた。その長い歴史のなかで、現存する最古の博多うどん店として君臨するのがこの店だ。
店名の由来は、驚くほど素朴で愛おしい。博多祇園山笠の熱気が交差する上川端町、櫛田神社へと続く角地(かど)に店を構えたことから、博多っ子たちは親しみを込めて「角のうどん」と呼んだ。それが博多弁独特のマリネされたアクセントと濁音化によって「かろのうろん」へと変化し、そのまま屋号として定着した経緯を持つ。暖簾に刻まれた平仮名の響きには、明治の市井の人々の暮らしと笑い声が今もそのまま息づいている。