第13話において最も視聴者の心を揺さぶったのは、鏡越しではなく、乃木の脳内空間で直接ぶつかり合った「F」との激しい対話シーンだ。これまで「F」は、乃木の弱さを補い、危機的状況で冷徹な判断を下す保護的な存在として描かれてきた。しかし、今回の「F」は明らかに焦燥感を露わにしていた。
「お前、本当に薫を裏切るつもりなのか?」——「F」のこの問いかけに対して、乃木が見せた一瞬の無表情。あれは演技なのか、それとも心理的限界を超えた精神の崩壊を意味するのか。別班としての使命感が「F」の野生的な直感すらも抑え込み始めている現状は、乃木憂助という男がすでに引き返せない深淵へと踏み込んでいることを物語っている。