ドリフの枠組みを超え、みずからの名を冠して打ち出した看板番組が『志村けんのだいじょうぶだぁ』だった。フジテレビ系列で放送されたこの番組は、志村さんのコント美学が最も濃密に結実した黄金期と言える。「変なおじさん」や「ひとみばあさん」といった強烈な名物キャラクターが次々と誕生し、日本中を爆笑の渦に巻き込んだ。
番組制作の現場で彼が求めたクオリティは極めて高く、妥協を一切許さないプロフェッショナリズムに満ちていた。深夜までおよぶネタの推敲と緻密な打ち合わせ。コントの質を極限まで高める作業に没頭する彼にとって、家庭を持つこと以上に「最高の笑いを創り出すこと」が人生の絶対的な優先順位となっていた。彼のストイックすぎる芸道への姿勢は、結果として結婚という選択肢をみずから遠ざけることになったのかもしれない。