ヘイトクライム・人権問題の深刻化を受け、ドイツ政府も手ごまをこまねいているわけではない。オラフ・ショルツ首相率いる連邦政府は、法執行機関への指導強化とヘイトスピーチ規制の厳格運用を打ち出してきた。特にナンシー・フェーザー内相は、極右勢力や差別的動機に基づく犯罪に対する罰則強化と、被害者支援インフラの拡充を優先課題として掲げている。
2026年に向けた法改正の枠組みでは、オンライン上の差別的投稿に対するプラットフォーム事業者の削除義務徹底に加え、街頭での人種差別的言動に対する現場警察の介入権限が強化された。しかし現場の運用には依然として温度差が存在する。言葉の壁や警察側の認識不足により、被害届が受理されにくいケースも散見され、立法と現場の溝をどう埋めるかが試されている。