あの大ヒット曲の風景は、どこから生まれたのか。答えは彼らの原点である横浜市磯子区岡村町にある。
リーダーの北川悠仁とサブリーダーの岩沢厚治が少年期を過ごしたこの街は、坂道が非常に多い。ファンの間で聖地として語り継がれる「鬼坂」をはじめ、傾斜のきつい坂道が日常のいたるところにそびえ立つ。作詞・作曲を手掛けた北川悠仁は、かつてこの急な坂道をママチャリでブレーキをかけずに駆け下りていたという。死と隣り合わせのスリル、風を切る爽快感。それがあの印象的な「長い長い下り坂を 君を後ろに乗せて」というフレーズの直接的な原風景となった。
当時、ふたりは路上に立ち、寒風の中で歌っていた。フォークソングの泥臭い伝統を受け継ぎながら、どこかポップで新しかった。北川が持ち込んだ軽快なコード進行に、岩沢の美しいハイトーンボイスが重なった瞬間、誰もが口ずさめる名曲の骨格が完成したのだ。単なる風景描写ではない。あの坂道は、大人になる手前で立ち止まる若者たちのモラトリアムそのものを象徴している。