スポットライトの当たる華やかな銀幕の裏側で、津川の人生を支え続けたのは妻であり女優の朝丘雪路の存在だった。芸能界屈指の「おしどり夫婦」として知られた二人だが、その絆は単なる仲良し夫婦の域を超えた、互いの美学を尊重し合う同志のような関係だった。
世間知らずで愛らしい妻を深い愛で見守り、時に軽妙な夫婦喧嘩すらもお茶の間に温かい笑いを届けた。私生活で見せる大らかな笑顔と人間臭さ。そうした素顔の魅力が、作品で見せる陰惨な悪役や重厚な権力者役に、どこか憎めない奥行きとリアルな生活感を与えていたことは見逃せない。