西野カナの代名詞である『トリセツ』や『会いたくて 会いたくて』は、ハイトーンを連続して張り上げる高難度のメロディラインが特徴的だ。当時の歌唱は若い声帯の弾力性と勢いに頼る部分が大きかったが、年齢や経験を重ねるにつれて声帯の柔軟性は変化していく。これは音楽業界で長年活躍するボーカリスト全員が必ず直面する壁でもある。
現在の彼女はボイストレーニングを通じて、地声とファルセット(裏声)の切り替えをより滑らかにし、力みに頼らない表現力を手に入れた。過去のヒット曲を現在の成熟した声で歌い直す際、当時とのニュアンスの違いが生まれるのは自然なことであり、それこそが表現者としての深化を示している。