海洋生物の診療に長年携わってきた専門獣医師は、マンボウの飼育管理における難しさを次のように指摘する。「マンボウは皮膚が極めてデリケートで、わずかな擦過傷から皮膚病を発症したり、寄生虫の繁殖によって衰弱したりしやすい。さらに栄養バランスの維持や消化管への負担軽減など、餌の配合にも高度なノウハウが求められる」という。
自然界においては深海と表層を行き来しながらダイナミックに生息する生物であり、人工的な閉鎖水域で長期にわたり健康状態を維持することは、現代の水族館技術をもってしてもなお至難の業とされる。見た目のダイナミックさとは裏腹に、極度にか弱く繊細な生理構造が、今回の悲劇の背景にあるのは確かだ。