InstagramやTikTokで爆発的な人気を博した事例として、大阪中崎町のカフェ「HUKULOU COFFEE」で話題を集めたコキンメフクロウの「フク」とスコティッシュフォールドの「マリモ」のコンビが広く知られています。体を寄せ合って眠り、互いに羽繕いと毛づくろいをし合う姿は、世界中のメディアで「種を超えた奇跡の友情」と絶賛されました。この現象を目の当たりにした一般飼育者から「猫とフクロウが仲良しな理由を知りたい」「自宅でも一緒に暮らせるのではないか」という声が急増した経緯があります。
しかし、動物行動学の観点からこの現象を紐解くと、ロマンチックな友情というよりも、特定の条件下で成立した特殊な環境適応であることが分かります。両者が親密な関係を築けた背景には、以下の決定的な3つの要素が重なり合っていました。
第1に、生後間もない極めて感受性の高い時期に引き合わされ、互いを「同居者あるいは家族」として認識する社会化期(インプリンティング)を共有していた点です。第2に、小型フクロウであるコキンメフクロウと、温厚でおっとりした性格の個体同士という、極めて稀有な気性のマッチングが成立していたこと。そして第3に、猛禽類の行動特性と猫の心理を熟知した専門スタッフが常時監視し、不穏な空気が生じた瞬間に介入できる管理体制が整っていたことです。
猫とフクロウの仲良し動画に対するネットの反応を分析すると、「信じられないほど可愛い」「自分も両方飼ってみたい」という称賛や憧れのコメントが8割以上を占めます。しかし、実際に猛禽類を診察するエキゾチックアニマル専門獣医師や研究者の間では、「氷の上の薄氷を踏むような極めて危ういバランスであり、一般家庭が軽率に真似することは自爆行為に等しい」と警鐘が鳴らされ続けています。