この希有な展示空間は、東京大学総合研究博物館と日本郵便株式会社による産学連携の先進的な共同事業として誕生した。16世紀ヨーロッパの貴族や知識人が世界中から収集した奇妙な品々を収蔵した「驚異の部屋(ヴンダーカンマー)」の精神を、現代のコンテンポラリーな文脈で再解釈したのが大きな特徴だ。近代日本の郵便事業を支えた歴史的建築の佇まいと、最高峰の研究機関が長年保管してきた莫大な学術資料。このふたつが出会ったことで、他には類を見ない空間体験が生まれた。
昭和初期の郵便局で使われていた木製のカウンターや棚が、大学の標本収納箱として息を吹き返している点にも注目したい。歴史の重みを残す什器と学術研究の最前線が交わる場所。足を踏み入れた瞬間、まるでヨーロッパの由緒ある学術都市のバックヤードに迷い込んだかのようなノスタルジーと知的興奮に包まれる。