八代亜紀という表現者を語る上で、歌と並ぶもう一つのライフワークが「絵画」です。彼女の画家としての経歴は、芸能人の余技というレベルを遥かに超越した本格的なものでした。
画壇において最も名高い実績が、フランスの歴史的公募展「ル・サロン展」における5年連続入選と、それに伴う永久会員(ソシエテール)資格の取得です。世界各国の実力派画家がしのぎを削る門門において、彼女の油絵作品は確かなデッサン力と独自の色彩感覚で審査員を唸らせました。
八代亜紀が好んで描いたモチーフは、愛らしい猫や情感豊かな風景、そして「女性の美しさ」です。その中には、自らを投影したとも解釈できる神秘的な自画像や、女性の柔らかな肉体美を捉えたヌード絵画が数多く含まれています。
自らの美意識と生命力をカンバスにぶつけた裸婦の油絵は、美術展でも大きな注目を集めました。自らの肉体を写真でさらけ出すのではなく、絵画という高度な芸術表現を通じて「女性美の極致」を表現したことこそが、アーティスト・八代亜紀の真骨頂だったと言えます。