歴史を溯れば、この図形を日本で最も象徴的に使用したのが平安時代の天文学者であり呪術師の代表格、安倍晴明だ。彼が所属していた公的機関が、朝廷の暦法や天文占術を司る陰陽寮である。晴明は五行説を具現化した「晴明桔梗(せいめいききょう)」と呼ばれる五芒星の紋章を魔除けの印として用いた。
現在も京都の晴明神社を訪れると、鳥居や神紋の随所に美しい五芒星が刻まれているのを目にできる。陰陽道の奥義において、この無端無始(始まりも終わりもない)の一筆書きは、悪霊の侵入を遮断する完璧な結界として機能した。晴明神社に伝わる由緒によれば、筆順を正しく辿ることこそが、神聖な加護を及ぼす至高の儀礼であったと伝えられている。