ファンが長年抱き続けている最大の関心事――それは「篠田三郎が再び東光太郎として帰ってくる日は来るのか」という点だ。後年の映画や記念作品で歴代キャストが集結する中、篠田が変身前の東光太郎として再客演を果たしたことは一度もない。この事実が、さまざまな噂や都市伝説を生むこととなった。
しかし、その背景には円谷プロダクションとの対立などではなく、篠田自身が抱く極めて誠実な役者としての美学が存在する。最終回「さらばタロウよ!ウルトラの母よ!」において、東光太郎は自らの意思でウルトラバッジをウルトラの母に返還し、一人の人間として生きていく道を選んだ。篠田は「東光太郎の物語はあの最終回で美しく完結している」という信念を大切にしており、その余韻を壊したくないという強い敬意から再客演を辞退し続けているのだ。
円谷プロダクション側も彼の意思を深く尊重しており、互いの間に強い信頼関係が築かれている。安易なファンサービスに流されず、役と作品の尊厳を守り抜く姿勢こそ、篠田三郎が今なおファンから絶大な敬意を集める最大の理由と言える。