ネット上の一部コミュニティでは、「680円で黒毛和牛を出せるはずがない。結着成型肉やインジェクション肉(牛脂注入肉)なのではないか」「輸入牛のタンを黒毛和牛と偽装しているのではないか」という疑念が囁かれることがあります。
しかし、現代の外食産業におけるコンプライアンス基準とJAS法、食品表示法は極めて厳格です。正規の店舗で「黒毛和牛上塩タン」とメニュー表記する場合、黒毛和牛の産地・品質を証明する個体識別番号の管理が行われており、意図的な産地偽装や成型肉の無断使用は営業停止を含む重大なペナルティを招きます。
「激安=偽物」という短絡的な誤解が生じる背景には、飲食店側が取る「部位の使い分け」があります。タンの最根元である最高級の「タン元」だけでなく、脂の乗った「タン中」の上質部分を職人の包丁技術で丁寧に隠し包丁(スリット)を入れて柔らかく仕上げることで、上塩タンとしての食感を成立させているのです。偽物を使っているのではなく、技術と仕入れの工夫によって本物の黒毛和牛を680円で仕立て上げているというのが業界の真実です。