『それいけ!アンパンマン』のエンディングクレジットを見つめていると、思わず目を疑う瞬間がある。キャスト欄に「山寺宏一」の名前がいくつも並んでいるからだ。めいけんチーズ、カバお、釜めしどん、かまめしどんの仲間、さらにはゲストキャラや街の住人Aに至るまで、彼が一人で担当する役数は時に1回の放送で10役近くに及ぶこともある。
かつて番組関係者が明かしたエピソードによれば、台本を開くと山寺氏の役名だけでページが埋め尽くされていることすら珍しくないという。声優が一作品で複数の役を兼ねる「兼役」自体は珍しくないが、これほどまでに声質、性別、果ては人間以外の生物や物体までを同一話内で演じ分ける例は、日本のキッズアニメ界広しといえども他に類を見ない。