ペン字指導者や書道師範への取材によると、成人の約4割が無意識のうちに右側の筆順を取り違えている実態が浮き彫りになっています。典型的な間違いは「9画目と10画目の逆転」および「11〜14画目を通常の『水』と混同する現象」の2点に集約されます。
まず右上の「𦍌(羊の変形部分)」において、3本の横画を先にすべて書いてから中央の縦棒を貫いてしまうケースが後を絶ちません。しかし、正しくは「横・横 → 縦 → 最後の長い横」です。この順序を守ることで、10画目の横画が文字全体の腰高なフレームを支える梁(はり)の役割を果たし、字が引き締まります。
もう一つの落とし穴は右下の「氺(したみず)」です。通常の「水」の書き順(縦ハネ→左フック→右払い)で書いてしまうと、左側の点が連続したストロークになり、文字の右下がスカスカになってしまいます。「中央の曲がり縦画 → 左上の点 → 左下の払い → 右払い」という順序を守ることで、懐の深い安定した字形が完成します。