滋賀県大津市坂本の閑静な門前町を抜け、山裾に佇むケーブル坂本駅に足を踏み入れると、タイムスリップしたかのような静謐な空気に包まれます。この駅舎は1927年(昭和2年)の開業時に建てられた木造2階建ての洋風建築で、1997年に国の登録有形文化財に指定されました。
外観は白壁と木骨構造が調和したハーフティンバー調のデザインが特徴で、緩やかな傾斜地にしっくりと馴染んでいます。内部には創業当時の面影を残す木製ベンチやレトロな出札窓口が保たれており、観光地特有の商業的な喧騒とは一線を画した品格が漂います。鉄道史・建築史の専門家からも「昭和初期の鋼索鉄道建築として極めて保存状態が優れている」と高く評されており、単なる乗り換え地点ではなく、駅舎そのものを鑑賞する目的で足を運ぶ旅行者も少なくありません。