1968年から1969年にかけて、ジョン・レノンは前妻シンシアとの離婚を経てオノ・ヨーコとの関係に完全に没頭していました。この時期に書かれたDon't Let Me Down 歌詞 和訳を読み解くと、強気で皮肉屋だったジョンのパブリックイメージとは正反対の、赤裸々で無防備な心情が浮かび上がってきます。
冒頭から繰り返されるサビのフレーズは極めてシンプルです。
Don't let me down, don't let me down...
(どうか俺をがっかりさせないでくれ、見捨てないでくれ……)
Nobody ever loved me like she does / Oo, she does, yes, she does
(今まで誰も彼女ほど俺を愛してくれた人はいなかった / そうなんだ、彼女は俺を愛してくれている)
ジョン・レノン オノ・ヨーコ 逸話として有名なのは、ジョンが幼少期に母ジュリアと死別し、生涯にわたって強い見捨てられ不安を抱えていたという事実です。ジョンは自著や当時のインタビューにおいて、「ヨーコと出会ったことで、初めて男としての仮面を脱ぎ捨てることができた」と語っています。彼女の絶対的な愛に救われる一方で、「もし彼女に裏切られたり去られたりしたら、自分は完全に崩壊してしまう」という恐怖が、この悲痛なシャウトを生み出しました。
文学的修辞や比喩を極限まで削ぎ落とし、ただ純粋な感情を叩きつける歌詞構造は、後のジョンのソロ名盤『ジョンの魂(Plastic Ono Band)』へと直結する原点と言えます。