ネット上の議論や一部のファンコミュニティでは、「中村剛也は三振が多すぎる」「確実性に欠けるのではないか」といった声が散見されます。NPB歴代最多となる通算2,100個以上の三振を記録しているのは事実ですが、これは長距離打者としての本質を見誤った誤解です。
プロの打撃理論において、三振を恐れてバットをコンパクトに振り、当てにいく打撃をすれば、本塁打の確率は劇的に低下します。中村選手のスイングは「ボールの軌道にバットを入れ、美しいバックスピンをかける」ことに特化しており、中途半端なゴロアウトになるくらいならフルスイングで三振を選ぶアプローチを貫いています。
その結果として生まれたのが、統一球(低反発球)が導入され球界全体が極度の投高打低に陥った2011年シーズンの48本塁打です。この年、パ・リーグ2位の松田宣浩選手が25本塁打だったのに対し、中村選手はほぼダブルスコアで本塁打王に輝きました。さらにチーム総本塁打数(ロッテの46本)を中村選手1人で上回るという、近代野球では前代未聞の怪現象を成し遂げました。三振の多さは、異次元の長打力を生み出すための必要不可欠なコストであったことが証明されています。