インターネット上の掲示板やSNSでは、足の形や歩き方、お腹の出っ張り方などで「安産型か難産型かを見分ける」といった根拠のない情報が散見されますが、これらは医学的な事実とは完全に乖離しています。
お産の進行を決定づけるのは、産科学における「分娩の三要素」と呼ばれる以下の要因です。
- 産道(骨産道・軟産道):骨盤の骨の形態および子宮頸部・腟・会陰の伸びやすさ。
- 娩出力(陣痛・腹圧):子宮を収縮させる陣痛の周期的な強さと、母体の効果的ないきみ。
- 胎児(娩出物質):赤ちゃんの推定体重、頭の大きさ、産道を回旋しながら降りてくる向き(回旋異常の有無)。
どれほど骨盤の形が整っていても、陣痛が弱ければ微弱陣痛となって分娩は長引きますし、赤ちゃんの頭が骨盤に対して大きすぎる場合(児頭骨盤不適合)は計画的または緊急の帝王切開が選択されます。外見のスタイルだけで「あなたのお産は軽くなる・重くなる」と判断できる見分け方は、現代医学には存在しません。
「自分はお尻が小さいから難産になるのでは」と過剰に不安を抱く必要もなければ、「安産型と言われたから準備しなくても大丈夫」と油断することも禁物です。