道頓堀の夜空に浮かび上がるランナーは、なぜ両手を広げて片足を上げているのか。その真相を知るには、江崎グリコの創業者である江崎利一(えざき りいち)氏が看板を生み出した大正時代末期まで時計の針を戻す必要があります。
江崎グリコ看板の由来は、栄養菓子「グリコ」の発売に伴うシンボルマーク選定にありました。牡蠣のエキスから抽出したグリコーゲンを含むキャラメルを開発した利一氏は、「子供たちの健康づくりに貢献したい」という強い信念を抱いていました。ある日、神社の境内で駆けっこをしていた子どもたちが、両手を大きく広げて元気いっぱいにゴールする姿を目撃した利一氏は、「これこそが健康のシンボルだ」と直感したと記録されています。
当時、社内や有識者からは「顔が怖い」「もっと別の動物が良いのではないか」といった異論も出ましたが、実際に子どもたちへアンケートを取った結果、圧倒的な支持を集めたのがランナーの姿でした。グリコポーズの理由と意味は、単なる勝利の誇示ではなく、困難を乗り越えてゴールに辿り着いた瞬間の「生命力と歓喜」を体現した普遍的なメッセージなのです。