同じルーツを持ちながら、国や地域ごとに独自の進化を遂げたジャージャー麺。まずはその決定的な違いを整理しておきましょう。発祥の地である中国・北京の「炸醤麺(ジャージャンミエン)」は、発酵大豆調味料である黄豆醤(ホワンドウジャン)や甜麺醤をベースに、塩気と大豆の力強い発酵香を前面に押し出した仕上がりが特徴です。甘さは控えめで、茹で上げた熱い麺に塩辛い肉味噌と生野菜(きゅうり、大根、豆もやしなど)を豪快に混ぜ合わせて食べます。
これに対し、日本で広く親しまれている「ジャージャー麺」は、日本人の味覚に合わせてマイルドにローカライズされています。甜麺醤の甘みと豚ひき肉の旨味を引き立たせ、鶏がらスープや砂糖を加えてとろみをつけた「甘辛く濃厚なたれ」が最大の特徴です。麺も冷水でしっかりと締めた中華麺を使うスタイルが定着しており、暑い日でもツルツルと食べやすい工夫が施されています。
さらに、ドラマやグルメカルチャーをきっかけに日本でもすっかり定着したのが韓国の「チャジャンミョン」です。こちらは中国の炸醤麺が仁川の中華街を通じて韓国風に進化したもので、黒豆を発酵させてカラメルを加えた特特の黒味噌「チュンジャン(春醤)」を使用します。見た目は真っ黒でインパクトがありますが、苦味や辛味はなく、玉ねぎや豚肉をじっくり炒めた強い甘みとまったりとしたコクが際立ちます。三者三様の個性がありながら、どれも一度食べるとクセになる魅力を持っています。