日本演劇界の金字塔として語り継がれるミュージカル『ラ・マンチャの男』。1969年の初演以来、半世紀以上にわたり主演を務め上げたその功績は唯一無二だ。見渡す限りの荒野で風車に挑み続けるセルバンテス/ドン・キホーテの姿は、役者の生き様そのものと重なり合っていた。
満身創痍の状態で舞台に立ち続けた凄絶な舞台裏。劇中歌「見果てぬ夢」を歌い上げる凄まじい迫力に、客席では涙を流す観客が後を絶たなかった。長女である松たか子もその背中を追い、演劇の道で豊かな才能を開花させていくことになる。父の執念とも言える舞台への熱量こそが、一族の芸術的血脈を育んだ源泉だ。