ポケモンの歴史において、長らく語り草となってきたのがポケモン御三家くさタイプ不遇の理由です。初期作品を経験したプレイヤーなら誰もが、最初のジムリーダー戦を有利に進められても、中盤以降に弱点(ほのお、こおり、ひこう、むし、どく)の多さと耐性の少なさに頭を抱えた記憶があるはずです。第2世代のメガニウムや第5世代のジャローダ(ストーリー攻略時)など、技範囲の狭さも相まって「ストーリーでも対戦でもくさタイプは選ぶと苦難の道」という認識が定着していました。
しかし、この力関係を根本から覆したのが、第5世代から本格導入された「隠れ特性(夢特性)」の存在でした。歴代のポケモン御三家夢特性の強さ比較を行うと、開発陣がいかにくさタイプの復権へ向けて大胆なテコ入れを行ってきたかが浮き彫りになります。
契機となったのは、ジャローダの夢特性「あまのじゃく」の解禁です。威力130の「リーフストーム」を撃つたびに特攻が2段階上昇するという壊れ性能は、従来の搦め手中心のくさタイプ像を粉砕しました。続いて第8世代で登場したゴリランダーは、場に出るだけで草技の威力を底上げし毎ターン回復をもたらす「グラスメイカー」を獲得。さらに威力70(当時)の優先度+1先制技「グラススライダー」を携えたことで、並み居る水・地面タイプを薙ぎ払う環境のトップスイーパーへと変貌を遂げました。
そして第9世代のマスカーニャに至っては、自身が繰り出す技と同じタイプへ変化する「へんげんじざい」に加え、必中かつ確定急所の威力70技「トリックフラワー」を初期装備。相手の「まもる」を貫通する専用技の数々や「はたきおとす」の習得など、歴代の弱点を補って余りある攻撃性能が与えられたのです。かつての「不遇」というレッテルは、綿密に設計された特性と専用技のシナジーによって完全に過去のものとなりました。