通州事件とは、1937年(昭和12年)7月29日の未明、北京の東約20キロに位置する通州(現・北京市通州区)で発生した中国人部隊による大規模な日本人虐殺・反乱事件です。
事件の舞台となった通州は、当時、日本の軍事力を背景に設立されていた傀儡政権「冀東防共自治政府」(政務長官・殷汝耕)の本拠地でした。この自治政府直属の治安維持部隊であった「保安隊」が突如として寝返り、日本軍の特務機関や守備隊留守部隊、そして現地で暮らしていた無防備な民間人居留民を急襲したのです。
午前3時頃、通信網を遮断した保安隊は、約3,000人規模の兵力で一斉蜂起しました。標的となったのは軍事拠点にとどまらず、市内に点在していた日本人住宅、商店、旅館、学校にまで及びました。護衛の薄い民間施設が次々と破られ、白昼にわたって凄惨な略奪と虐殺が繰り広げられることとなりました。