結論から整理すると、三菱グループが韓国から全面撤退したという情報は事実無根です。この噂がネット上でまことしやかに囁かれ続ける背景には、2つの大きな出来事が結びつけられた経緯が存在します。
第1の要因は、乗用車を手掛ける三菱自動車工業(以下、三菱自動車)が過去に韓国市場から完全に撤退した事実です。一般消費者の目に触れやすい自動車ブランドの撤退が強く記憶に刻まれ、「三菱=韓国撤退」という大雑把な認識として定着しました。
第2の要因は、三菱重工業(以下、三菱重工)を巡る旧朝鮮半島出身労働者(いわゆる徴用工)訴訟の判決と、それに伴う韓国内資産の差し押さえ問題です。連日の報道によって「韓国での事業継続は不可能となり撤退するのではないか」という憶測が広がり、ネット上で実態以上の飛躍を遂げました。
三菱グループは「金曜会」に代表される独立した個別企業の集合体であり、グループ一斉の撤退という意思決定の仕組み自体が存在しません。消費財に近い分野での撤退と、BtoB(企業間取引)を中心とした事業展開が入り混じっている点こそが、噂の真実を覆い隠す要因となっています。