医療現場において、発症から数時間以内の迅速な診断と緊急手術や緊急処置が求められる腹部疾患の総称を急性腹症と呼ぶ。放置すれば腹膜炎や敗血症へと進展し、生命に関わる事態に直結するため、迷わず救急搬送を検討すべき明確なレッドフラッグ(危険信号)を知っておかなければならない。
日本救急医学会のガイドライン等でも強調されている通り、以下の症状が一つでも該当する場合は夜間や休日であっても直ちに救急外来を受診すべきだ。
腹部を軽く触れただけで板のように硬くなっている(筋性防御)、歩く振動や咳をするだけでお腹全体に激痛が響く、冷汗が止まらず意識が遠のくような感覚がある、真っ黒な便や鮮血便が出ている、38度以上の高熱と激しい嘔吐が続いている――これらは腹腔内で穿孔(穴が開くこと)や虚血、重度の感染が起きているサインだ。厚生労働省が推進する救急安心センター事業(#7119)などを活用しつつも、明らかに様子がおかしいと感じた際は躊躇なく119番通報を選択する判断力が求められる。