かつてはシニア層を中心とした宗教的巡礼という側面が強かった四国遍路だが、2026年現在の様相は全く異なる。欧米やアジアからのインバウンド客が押し寄せ、ハイキング愛好家やマインドフルネスを求める若者たちが相次いで四国を訪れている。現地案内所の統計によると、今年に入ってからの外国人巡礼者の割合は過去最高の3割を超えた。
長年、地域のボランティアとして遍路宿を営む70代の男性は興奮気味に語る。「言葉の通じない外国人が増えた当初は戸惑いもありました。でも今は、自動翻訳機やAI音声ガイドを片手に、誰もが笑顔で『ありがとう』と言って歩いていく。国籍は違っても、人が抱える悩みや癒やしを求める思いは一緒なんですよ」。デジタル技術が、むしろ泥臭い人間同士の温もりを際立たせるという興味深い現象が起きている。