JAXAが主導してきたロケット開発は、三菱重工をはじめとする数百社の国内サプライヤーによって支えられてきた。しかし、かつての過剰な品質管理と専用部品への依存は、高コスト構造の温床でもあった。この壁を破ったのが、徹底的な民生品の活用である。
例えば、ロケットの電子制御系には過酷な宇宙環境に耐えうる自動車用の半導体やコネクタが惜しみなく投入されている。宇宙専用品をカスタムメイドするコストをカットし、世界中に確立された自動車産業のサプライチェーンを流用する発想の転換。これにより、一機あたり約50億円という目標価格の実現に道筋がついた。日本のモノづくりの底力が、宇宙ビジネスの厳しい原価計算と正面から合致した瞬間だった。