1998年7月25日、和歌山市園部地区で行われた夏祭りで振る舞われたカレーライスに毒物が混入された。事態は一刻を争う猛毒亜ヒ酸による中毒と判明し、地域社会は一瞬にして恐怖の底へと突き落とされた。捜査を担当した和歌山県警察は、過去に保険金詐欺の疑いがあった近隣住民の存在に着目し、捜査の網を急速に狭めていった。
しかし、最大の謎として残されたのは「動機」の欠如である。金銭目的の保険金詐欺とは異なり、無差別に住民を狙う動機がどこにあったのか。被告が一貫して容疑を否認し続けたこともあり、直接的な犯行の動機や手口の全貌は、法廷での審理を経ても明確に解明されたとは言いがたい状況が続いている。