今回の検査で最も問題視されているのが、プラスチックを柔軟にするために使用される「フタル酸エステル類」と呼ばれる可塑剤の存在だ。浮き輪をはじめとするビニール製品の柔軟性を高める工程で広く用いられてきた物質だが、近年の医学的研究で強力な環境ホルモン作用(内分泌攪乱作用)を有することが立証されている。
とりわけ懸念されているのが、生殖機能への悪影響や発達障害、さらには長期的な曝露による発がん性のリスクである。浮き輪は水遊びの際、汗や水滴で濡れた皮膚と長時間直接接触する。幼い子どもが誤って浮き輪の空気を吐き出す口元を舐めてしまうケースも珍しくない。国際的な安全基準では極めて厳しい上限が定められているものの、今回対象となった製品からは、子どもの健康を直接脅かしかねないレベルの化学成分が確認された。