彼の真価は現代劇にとどまらない。重厚な殺陣や凛とした立ち振る舞いが求められる時代劇でも、確かな存在感を示してきた。武士の生き様や町人の哀歓を情感豊かに演じきる姿は、伝統的な日本人の美徳を体現しているかのように映る。
さらに、映画『鉄道員(ぽっぽや)』で見せた味わい深い演技は、作品全体の叙情性を高める重要なピースとなった。極寒の北海道の駅を舞台に、親友である高倉健演じる主人公と交わす無言の対話や言葉の重みは、観る者の涙を誘わずにはいられない。息の合った二人の共演は、日本映画史に残る名場面として語り継がれている。