ネット上の掲示板やSNSでは、「山手線は内回りと外回りのどちらが早いのか」という議論が定期的に巻き起こります。しかし、実際の結論は「どちらに乗っても大差なく遅い」というのが運行ダイヤの冷徹な事実です。
東京駅を基点とした場合、山手線内回り外回りの力学は次のようになっています。北側の神田・上野・池袋を経由する「外回り」は約32分から34分、南側の新橋・品川・渋谷を経由する「内回り」は約34分から36分です。品川駅周辺や渋谷駅周辺の大規模再開発工事に伴う徐行区間の影響や駅間距離の差により外回りのほうが1〜2分早い傾向にありますが、中央線快速の約14分と比べれば誤差の範囲に過ぎません。どちらを選んでも「およそ35分間、各駅停車の電車に揺られ続ける」ことに変わりはないのです。
では、なぜこれほどまでに山手線が遅い理由が生じるのでしょうか。第一の理由は、環状線としての駅間距離の短さと加減速の頻度です。東京駅から新宿駅までの間、山手線外回りは15駅、内回りは14駅を挟みます。山手線の最新車両E235系は高い加速性能を誇るものの、数百メートルから1キロ程度走るたびに駅に停車し、安全確認と乗降を繰り返すため、平均移動速度(表定速度)はどうしても時速30km未満に落ち込みます。
これに対し中央線快速は、東京駅を出ると神田、御茶ノ水、四ツ谷、新宿と主要拠点のみを直線的に貫き、表定速度は時速45km以上に達します。直線距離約6.5kmを一直線に駆け抜ける特急型の線路設計と、外周を20km近く大回りする各駅停車の構造差こそが、20分という決定的な差を生み出す根源です。