上陸後、見学広場で耳を傾けるガイドの解説は、通り一遍の観光アナウンスとは明らかに一線を画している。歴史的背景の数値データを伝えるだけでなく、当時の住人たちがどのように生活し、子供たちが屋上でどう遊び、命がけで海底炭鉱へと潜っていったのかという「人間のドラマ」に焦点を当てる。
ガイド陣の中には、元島民やその親族、長年現地を調査し続けてきた専門スタッフが名を連ねる。風化が進み、いつ崩落してもおかしくない建物群を前に、彼らが紡ぐ言葉には圧倒的なリアリティが宿る。ただのフォトジェニックな廃墟として消費させるのではなく、日本の産業遺産としての価値と人々の記憶を正しく次世代へ継承しようとする姿勢が伝わってくる。