当時の写真アーカイブを開くと、まず目を奪われるのがシャープな顔立ちと涼しげな目元です。トレードマークだった短髪のウルフカットに精悍な肉体、そしてリングで見せる憂いを帯びた表情は、まさに少女漫画のヒーローが現実世界に飛び出してきたかのような佇まいでした。
しかし、彼女の魅力は単なる「かっこよさ」だけに留まりません。試合後のインタビューやバラエティ番組で見せる屈託のない笑顔、ファンに接する際の人懐っこい仕草には天性の愛嬌があり、この絶妙なギャップが「かっこいいのに守ってあげたくなる」という強烈な庇護欲をファンに抱かせました。
従来の女子プロレスが持っていたアングラなイメージを根底から覆し、女性ファンが堂々と「推せる」カルチャーへと昇華させた最大の功労者こそ、長与千種その人でした。