なぜこの地の桜は「天下第一」とまで称称されるのか。その理由は、この地固有の品種であるタカトオコヒガンザクラが持つ独特の気品と、深く刻まれた歴史のロマンにある。
一般的なソメイヨシノに比べて花弁がやや小さく、赤みがかった濃いピンク色をしているのが最大の特徴だ。明治初期、高遠城の廃城に心を痛めた元高遠藩士たちが、馬場から城址へ桜を移植したことが現在の群生美の始まりとされる。また、織田信長勢の凄まじい攻勢に対して城を守り抜こうとした武田軍の将・仁科盛信の壮烈な歴史が重なり、この場所の桜には独特の気品と力強さが宿っている。史跡・城郭景観の趣を残す古城の堀や土塁と相まって、訪れる者の心を揺さぶり続けている。