歴史の転換点において、甲賀の忍びは常に重要な役割を果たしてきた。とりわけ本能寺の変の直後、徳川家康が決死の覚悟で決行した「伊賀越え」の局面において、彼らを護衛し無事に三河へ送り届けた功績は計り知れない。自立した地方自治組織「甲賀郡中惣」を形成していた彼らは、単なる傭兵ではなく高い政治的判断力を備えた武士集団だったのだ。
近年のNHK大河ドラマや各種時代劇でも、こうした甲賀武士たちの知性や情報収集能力にスポットが当てられる機会が増えている。単なる影の暗殺者ではなく、地域を守り、天下の動向を冷徹に見極めた実像を知ることで、歴史散策の面白さは何倍にも膨らむ。