重厚な歴史的背景を借りながらも、本作の本質は純度の高いサスペンス・スリラーだ。従来の重苦しい時代劇という枠組みを軽々と跳び越え、観る者の神経を限界まで鋭利に削ぎ落とす。
物語の核をなすのは、夜間のわずかな光の中でだけ「目が見える」という特殊な病を抱えた盲目の鍼灸師の存在だ。ある夜、彼が宮中の一室で目撃してしまった壮絶な惨劇。闇に紛れて遂行された暗殺の瞬間、かすかな光の中に浮かび上がった真実は、王宮全体を呑み込む狂気の渦へと彼を突き動かしていく。静寂のなか響く鍼の音と、息遣いひとつ許されない緊張感。卓越した映像表現が視聴者の心理を極限まで追い詰める。