日本のポップス史を語る上で、松本隆と秋元康という二大巨頭の存在を外すことはできない。彼らが築き上げた言葉の美学と商業的システムこそが、現在のJ-POPの基盤を作ったと言っても過言ではない。
松本隆は、はっぴいえんどでの活動を経て、松田聖子や太田裕美、KinKi Kidsに至るまで数々の名曲を創出した。都市の情景描写と繊細な乙女心を巧みに織り交ぜた詩的表現は、時代を超えて愛される「スタンダードナンバー」の価値を創出。何十年経ってもラジオやカバーで流れ続けるため、極めて息の長い印税収益を生み出し続けている。
対して秋元康は、時代ごとの空気感を的確にキャッチし、物語性の高い視点で大人数グループのアイデンティティを形成した。大人数アイドルグループの文脈に刻まれたフレーズの数々は、社会現象を引き起こす凄まじい爆発力を持っていた。作詞家がプロデューサーとして楽曲の全体像を設計するモデルを確立した功績は極めて大きい。