猫の耳の動きは、単なる機嫌の良し悪しを映す鏡にとどまらない。日本獣医師会も警鐘を鳴らすように、耳の変形や異常な動きの裏には、早期治療が必要な疾患が潜んでいるケースが少なくないのだ。最前線の獣医療現場では、耳の角度や頻繁な振る舞いが臨床診断の重要な手がかりとされている。
たとえば、片方の耳だけをずっと下げる、あるいは頻繁に頭を振って耳を気にしている場合、外耳炎や耳疥癬(ミミヒゼンダニ症)といった感染症が疑われる。放置すると耳血腫を引き起こし、激しい痛みや軟骨の変形を招く恐れがある。さらに、前庭疾患などの神経系トラブルでは、平衡感覚が失われて耳の保持位置がおかしくなることも多い。毎日のコミュニケーションの中で耳の微妙な違和感に気づくことが、愛猫の命を守る第一歩となる。