事件の舞台となったのは、東京都品川区西五反田に位置する老舗旅館「海喜館」の跡地だ。JR山手線駅からほど近い超一等地であり、不動産業界の誰もが喉から手が出るほど欲しがっていた土地だった。この広大な敷地に目を付けたのが、土地の所有者になりすまして売買代金を騙し取るプロの犯罪組織「地面師」たちである。
犯行グループは、病床にあった本物の地主のパスポートや印鑑証明書などを精巧に偽造。積水ハウスの買収担当者を完全に信用させた。取引の現場では、偽者の所有者が生年月日や干支を言い間違えるといった不審なサインが幾度となく出ていたにもかかわらず、巨額の利益に目が眩んだ企業側は警告を無視し、取引を強行してしまう。結果として55億円もの現金が犯行グループに流出し、未曾有の地面師詐欺被害が確定した。